朽木に引っ越しして4ヶ月。
雪が降りました。
雪は見たことがあるけれど、
雪が降るところに住むのは初めてです。
真っ白な世界は、全ての音を包み、静かです。
真っ白な世界は、キラキラと輝き、神秘的です。
雪は音もなく深深と降りました。
悲しいくらいに寒いのに、
雪をすくい上げ川に投げたり、
膝まで沈む雪の中に沈んでみたり、
白い世界に魅力されました。
ただでさえ静かな場所から、微かな音さえ消えてしまう。
素晴らしいと思う。
- 2020/12/17(木) 22:51:56|
- 小風景
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2日程、大阪に戻り用事を済ませて、新しい場所に戻る。
湖西道路から鯖街道に入り、ガソリンスタンドの手間の橋を渡る道が、新しい場所へと続く道。
数日続いた雨のおかげで、川は増水しているけど、水は透明だ。
勢いよく流れる川も、川自身を讃えているようで素晴らしい。
細い道に入ると、帰ってきたなぁという実感が湧いてくる。
それと同時に、心が躍る。
深い山の間を、水は流れる。
ただそれだけなのに、素晴らしいと感動する。
数日前に、娘から泣きながら電話がかかってきた。
泣いているので話がよく分からなかったけど、
少し辛そうに感じた。
でも、大丈夫だよ。そう言ったら、大丈夫なんかじゃないと言われ電話を切られた。
切られてからも、でも、大丈夫だよと思った。
楽しいことばかりの毎日なんて、あるのかもしれないけど、それはそれで窮屈な気がする。
楽しい時は、笑ったらいいし、
悲しいことがあっら、泣いたらいい。
それが、生きているということ。だと思う。
ただ、目の前に山があったら、川が流れていたら、
その悲しみは、もしかしたら、少し違う悲しみに感じるかもしれない。
山があると、楽しみも、大いに違う楽しみになるだろう。
山も、川も、何も言わない。
何も言わないのに、こちらは、いつも何かを感じる。
側にいても、遠くにいても、
見守るということは、きっとそういうことなんだと思う。
いつでも、どんな時でも、大丈夫だよと言えることはできるだろうか。
何が大丈夫って、大丈夫なもんは、大丈夫なんだよ。
大丈夫って言われたら、もう大丈夫になってるでしょ。ということ。
初めてだった道が、いつもの道に変わった日。
今日も川は水を讃えて、山は緑深く。
それだけで最高の1日。
- 2020/07/15(水) 22:02:06|
- 小風景
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6月末までオープンの予定でしたが、5月末で閉店することに致しました。
ご予定くださっていた方には申し訳ございません。
セールのものもほぼなくなりお店もスッキリしました。そうしていく中、新しい場所へと気持ちが前に前にと向いていると、今の場所を開けていても仕方がないなぁと思ってしまいました。
新しい場所は、山の中です。
目の前に、とても綺麗な川が流れています。
明後日から、新しい場所つくりがはじまります。
古い納屋を解体して、仕事場につくりかえ、何度も何度も手を加えられた古い母屋を、建てられた当初の姿に戻して、生活の場を整えて。
完成するまで長い時間がかかるでしょう。
ただ、いく先には、ゆっくりとした時が流れています。
ずっと変わらず目の前を流れている川は、ずっと変わらず目の前を流れているのでしょう。
そのことに一目惚れです。
川の音を聴きながら仕事をするという夢がはじまります。
皆さまお世話になりました。
- 2020/06/03(水) 21:01:37|
- 小風景
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写真が綺麗じゃななのが残念ですが、大きな木の板の鉋がけができました。
幅1mの板を削る機会は、この先あるかどうか分からないくらい貴重な体験でした。
木肌はキラキラとし、波のように流れる木目を手でなぞり、木はいいな。やっぱりいいなと思いました。
大阪市内の真ん中に引っ越してきて、もうすぐ3年になろうとしています。
2年と少し、日々生活していく中で、気持ちも変わりはじめました。
6月末でお店を閉店致します。
お店を構えるということを止めようと思いました。
ものをつくることは、これからも続けます。
ただ、お店はなくてもいいかなと思った次第です。
仕事場も引っ越します。
次は、山の麓。目の前に川が流れています。
ほんとうは、天川村にいきたかったけど、いい場所にまだ出会えませんでした。
それは、次の楽しみに。もう少し待つことにしよう。
という訳で、お店に展示してある家具をセールしようと思います。
2階にはつくったキッチンもあり、それも手放そうと思います。
とは言っても、世の中は緊急事態宣言が出ており、皆さま自粛されていると思います。
そんな中でも、なにか家具が欲しいなと思う方がおられましたら、ご連絡ください。
最後のお店なので、できることなら、お店でお買い物して欲しいです。
ご来店優先で、大放出します。
- 2020/04/19(日) 22:09:01|
- 小風景
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木の向くままに
ここに幾つかの杉の木があります。
丸太のままの木、鋸で四角に切り揃えた木、斧で引き裂いた木たちがあります。
木は根を張り大地から水を得て、葉からは二酸化炭素を吸い込み、酸素を吐き出し、大きくなります。
ここにある木の幾つかは、ひと月前に材木になったものもあります。
木がどれくらいの水を含んでいると思いますか。
木に手を当ててみると、まだしっとりとしています。
持ち上げようとしても、ずっしりと重く動きません。重さの80%が水分なのです。
木は、たくさんの水を飲み、蓄え、大きくなります。
昔々、鋸という道具がまだない頃、人々は斧、楔、ちょうな、そういう道具を使い、丸太から板に、柱へと加工しました。
たっぷりと水を含んだ木に斧を振りかざすと、表面から水が溢れ出ます。
生きていたんだ。そう思える瞬間でした。
木の塊の上に、年輪と呼ばれる輪が幾つもあります。
この輪一本は、木が一年成長した証です。
1,2,3,4,…50…80…90…100… 年輪を数えるとその木の年齢がわかります。
年輪をもっとよく見ると、東西南北もわかります。この時期は雨が多かった。暑かった。寒かった。
そんなこともわかります。
大きな木という絵本の中で、木は、人間のために、実を与え、枝を与え、幹を与えます。
そうして最後は、切り株となった木に座ることができました。
大昔から、木と人とは深いつながりがあります。
今でこそ、身の回りには、いろんな素材でできたもので溢れていますが、
昔は、みんな木でできたものでした。

昨日、大阪市内にある幼稚園の作品展に特別展として参加しました。
たくさんの杉の木を並べて、子供たちや大人たちに、触ってもらい、座ってもらい、木の中を見てもらう、そんな展示でした。
子供達は、高さの違う木たちの上を飛び回り、手を当てて冷たいを言ったり、年輪を数えたり、
持ち上げようとしたり、押してみたり。
キャプションを読んでいただき、子供と一緒に木に触れる大人たち。
そんな風景を見ていると、なんだか美術館で展示しているような、そんな気分になりました。
短い時間の中でしたが、とても有意義で、気持ちの良い時間でした。
見ていただいた皆さま、このような場を提供してくださりました幼稚園の皆さま、ありがとうございました。
そんな中でも、木はいつも静かでした。
いつもと変わらないその姿、やっぱり木が好きです。

- 2020/02/03(月) 18:32:58|
- 小風景
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